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                 巻頭言

                    元九州大学 大学院工学研究院航空宇宙工学部
                                                                                      設立委員長   後藤昇弘                                                                                

 平成16年6月、本協会設立発起人である河邉新一氏が九州大学院元岡キャ ンパス航空宇宙工学教室に私を訪ねて来られ、滑空史保存協会設立準備委員会会 長就任を依頼されました。以前にも、河邉氏と活動委員と当教室で保存している 故佐藤博名誉教授のグライダー研究資料の整理をボランティアとして申し出ら れ、CD-ROM一巻に見事にまとめて、それを教室に寄贈された経緯もありま したので、身に余る責務と思いつつもお引き受けした次第でありました。その 後、河邉氏を中心とした実質的活動は目覚ましく、戦前、戦後の滑空界著名人に 次々と接触し、有形、無形の資料を発掘し、着実に滑空史の充実を図っていると ころであります。それぞれの滑空人との面会や新資料発見のニュースを聞く度 に、その価値の大きさに驚くと共に、身が引き締まる思いで、改めて委員長席の 重責を感じているところです。  

 戦後の一時期滑空機熱が再興しましたが、現在は世界的に停滞しているよう に見えます。しかし、滑空機技術は一見意外なところで極限的進歩を遂げていま す。それは、スペースシャトルや我が国が開発中のホープのような宇宙往還機の 分野です。これらは大気圏再突入後何れも滑空機として飛行、着陸帰還します。 先頃、連続して試験飛行に成功したスペースシップワンもそうです。こういう往 還機の開発には独創性に満ちたアイデアが必要であり、将来の航空宇宙を目指す 若人に期待が寄せられますと同時に、顕著な歴史的国産技術に接する機会を与え て先人のご苦労を知ってもらいたいとも感じています。日本の滑空機の歴史をひ もとく時、いかに日本独自の独創的アイデアが込められているかを発見し、感動 します。先般、故木村春夫先生が佐藤博先生の遺稿を基に、「日本グライダー 史」(海鳥社)を上梓されましたが、木村先生はその終章を「わが国でも、グラ イダーを作って飛ぶという時代の再現を望むのは無理な願いであろうか」と結ん でおられます。そのためには、歴史をひもといて、先人のご苦労と数々の独創的 アイデアを若い人々に知ってもらうことは極めて重要な事と考えます。このよう な視点から、日本の若人に刺激を与えることができるような本会の活動を希求し ているものであります。

  会員諸氏のご協力はもとより、今後多数の会員を得て、目的の一端でも果たす ことができるよう冀って本稿の結びといたします。    

                                            平成18年4月26日